タカギクラヴィアのピアノは,コンサートやレコーディングだけでなく,TV,映画などですでに7000回を越えるステージの実績を残しています。
コンサートホールに備え付けのピアノは、あくまでも公共のピアノです。
できるだけピアニストの要望にこたえてあげたくても「公共のピアノ、そして限られた時間」という制限の中では、その妥協点を探るしかありません。ピアニストにとっては、自分の好みにあった、自由にコントロールが効くピアノこそが最高のピアノなのであり、求めるものが異なるピアニストにとっては、その楽器が弾きにくい場合もあります。
もちろん、連打ができないなど物理的に弾きにくいのは論外ですが、音色のコントロール、鍵盤の重さや感触、音の出方、音質、タッチのバランスなどピアニストの好みは千差万別。さらにソロ、オーケストラとのコンチェルト、あるいは伴奏などによっても求められるものは全く異なります。子供の発表会から一流アーティストのコンサートまで、一台のピアノでまかなうというのも、矛盾のある話です。

誰にとっても最高のピアノなど存在しないのですから、ホールのピアノはごく標準的な調整にしておくことしかできません。また、数年に一度しか出番のないような特殊な調整のピアノを何台も買いそろえる必要もありません。様々な人が弾くホールで使用されるピアノは、普通のピアノで十分であり、それ以上を求めるピアニストは、ピアノを持ち込べばよいと、私たちは考えます。
スタインウェイ(ニューヨーク) MODEL-D
ホールの隅々にまでふりそそぐクリスタル・トーン。絢爛たる響きはまさに王者の風格を持つ。20世紀前半、ピアノ黄金時代の音色を再現したこの楽器は、やはり華やかな舞台がふさわしい。大ホールコンチェルト専用などのスペア・アクションを持つ。
スタインウェイ(ハンブルグ) MODEL-D
日本のホールに置かれているスタンウェイは、ほとんどがハンブルグ製であるため、ある意味なじみやすいかもしれない。しかし馴染みがあるからこそ、究極のチューニングアップをされたこのピアノの弾き易さ、魅力がはっきりと感じ取れるであろう。
スタインウェイ(ニューヨーク) MODEL-B
セミ・コンサートグランドピアノ。MODEL-Dは長さ274cmに対して、こちらは長さ211cmとなる。フルコンサートグランドピアノが入れられない、イベントなどに最適。
スタインウェイ(ハンブルグ) MODEL-B
セミ・コンサートグランドピアノ。MODEL-Dは長さ274cmに対して、こちらは長さ211cmとなる。フルコンサートグランドピアノが入れられない、イベントなどに最適。
ベヒシュタイン(ベルリン) MODEL-EN
まろやかな中音域とゲルマンの重厚な低音が魅力的。中ホールでじっくり聴かせるソロ・リサイタル、または弦楽器や歌曲の伴奏向き。 国産のピアノなら通常のフルコンサートよりも一回り大きい280cmとなります。
ベーゼンドルファー(ウィーン)MODEL-200
国産のピアノならC5タイプの大きさ。
レコーディング NYS CLASICCSのコンセプト
当社では、1995年にピアノ音楽を中心とした、クラシック専門のインディーズレーベ ルNYS CLASSICSを設立しました。 このレーベルの基本理念である《巨匠たちの音を求めて》は、パフォーマ ンスとしての演奏だけでなく、かつての巨匠達から受け継がれてきた正統な解釈を最高の音で残したい、というコンセプトのもとに企画されたものです。
・作曲家直系のアーティスト。
・19世紀後半から20世紀初頭、クラシック黄金時代を彩ったピアノ。
・そして今後それらを受け継いでいく実力派アーティスト。
この3点を基本に、クラシック音楽の真髄を極め、その音を後世に残していくため、単なる商品ではなく作品としてのクオリティを追求したCD制作をおこなっています。

編集においても、ミスや雑音を削ってつなぎ合わせるのではなく、それがたとえリハーサルのテイクであったとしても、芸術性や味わいが全面に出るよう演奏者の意志、本来の流れを重視するように心がけています。ホロヴィッツが逝き、ミケランジェリ無き今、我々はある種危機感を持って、クラシック音楽の継承を考えていかねばならないでしょう。言葉と同じように演奏もまた、少しずつ時代とともに変化していってしまうのは避けられない事実です。しかし何百年もの時を越えて、今なお輝き続けるクラシック音楽の本質を伝えていくためには、パフォーマンスとしての演奏だけでなく、正当な解釈をも残していく必要があります。おそらく最も作曲者のイメージに忠実で、地味ではあっても自信と事実に道溢れた名教授達、今までレッスンという形で、ごく限られた人にしかふれることのできなかった彼らの演奏・解釈を、より多くの人々に届けていきます。
レコーディング カーネギーレコーディング
1887年製のニューヨーク・スタインウェイ「D-54958」。
かつてカーネギーやメトロポリタンホール創立当時、貸出用のコンサートピアノとして活躍していた楽器である。非常に美しいそのローズウッドのボディは、当時黒い塗装のピアノが主流ではなかったことを物語っている。

その後日本に渡り、ある時期キャピトル東急ホテルに所蔵されていた。そして1986年、ホロヴィッツが2度目に来日した際、このホテルに滞在し、実際にこのピアノを弾いて絶賛したという記録と写真が残っている。この件は、私の長年の友人であり、その時ホロヴィッツと共に来日していた、フランツ・モア氏(ホロヴィッツやルービンシュタインなど歴代の巨匠たちの専属調律師を務めた最高の技術者)が、何度も私に聞かせてくれた話であり、彼が出版した本「ピアノの巨匠たちとともに」において、「ホロヴィッツはピアノに向かってすわり、楽器に手をふれると大声をあげた。『なんとすばらしいピアノだ!すばらしい!


これじゃあ私のピアノを持ってくる必要はなかった。これだったらコンサートに使える!』」というエピソードとして紹介されている。この幻のピアノは以後消息不明だったが、昨年私が所有することとなった。そしていつかこのピアノを、カーネギーホールの舞台に戻して、そのステージで鳴らしたいと思っていた。

常々、私は現代のピアノと巨匠達のピアノは明らかに音が違うと主張し続けてきた。
レコーディングやコンサートに、特別に調整されたピアノを持ち込む。このシリーズも、各地の主要ホールに於いてすでに1000回を越えるステージの実績を残し、ホールが変われば楽器はまるで別物になってしまうということを、様々な形で体験してきた。恐らくどのメーカーも我々のような膨大なデータは持っていないだろう。
そして私は、当時(クラシックの黄金時代)の音の秘密を証明するためには、その当時の楽器を、近代クラシック時代の象徴であるカーネギーホールで鳴らし、確認するしかないと考えた。
なぜなら、この時代はまだレコードが実用化されていなかったため、当時の演奏データというものはほとんど残存していないからである。
しかし、このままこの楽器をステージで演奏しても、骨董品を鳴らすだけで当時の音は再現できない。完璧を期するためには、響板取り替えまでも含めたフル・リビルトをして、1887年当時のオリジナルの状態にしなければ、当時の音は再現できないのである。
最新の技術を持って、特別に調整された弊社のコンサートグランドピアノは、24時間、温湿度の管理されたスタジオに保管されています。輸送の際には従来のようにピアノを起こして梱包せず、保冷車を使用して最適な環境を維持したままステージへ。この独自のシステムにより、ピアノにダメージを与えることなく、常に一定したハイレベルの技術を提供することが可能となりました。トラックの庫内は、冷暖房、除湿器などが完備され、ピアノを最適の状態に保ちながら、年間200回を越えるツアーをこなしています。
修理においては、すべてニューヨーク及びヨーロッパから取り寄せた純正部品を使用し、自社工場においてアクションのオーバーホールだけでなく、全弦張り替えや外装の塗装まで行っています。


また、ニューヨークの提携ファクトリーでは、響板の張り替えまでも含めた full rebuilt を実施しています。これにより、外側のボディは年月を経て十分熟成し、枯れて素晴らしい倍音を奏で、新品の響板はパワーをフルに発揮する最強の楽器となります。我々はこれをヴィンテージ・スタインウェイと呼び、ヴァイオリンにたとえるならば、ストラディヴァリウスのように大変クオリティの高い楽器です。